第4章 呪いの享受
高速道路を黒い車が走る。
私は後部座席に座ってる。
「小学校に、呪霊が出現したらしいんだよね」
隣に座る五条先生が長い脚を組んで、窮屈そうに伸びをした。
「綾瀬がいるのに呪霊が出現したんですか?」
助手席に座る伏黒くんとルームミラー越しに目が合った。
「うーん、エリア的に皆実のオート吸収範囲外かな。あるいは既存の呪霊」
「等級は? 2級ですか?」
「詳しい話は面倒だから伊地知に聞いてー」
五条先生は手をひらひらと振って現在運転中の伊地知潔高さんに話を振った。
五条先生の後輩らしい、けど大変だろうなあ。
「綾瀬さんという不確定因子と2級の伏黒君が向かうということで、相手の等級は伏黒君より格下……3級です。が、綾瀬さんもいますので格下であっても不測の事態は覚悟しておいてください」
「脅すね、伊地知」
五条先生は口角をあげる。
「もし不測の事態が起きた時は僕がなんとかするから問題ないよ」
自信満々にいって五条先生は私の方を見た。
見た、といっても目隠ししてるから本当に見られてるのかは分かんないけど。
「あくまで今回は皆実の勉強が目的。僕の祓い方は勉強にならないから、恵の祓い方見て雰囲気理解しておいで」
「俺は綾瀬守りながら戦えばいいですか?」
「皆実は守らなくていいよ。どうせ呪霊に襲われても呪霊の攻撃は皆実に効かないし。恵はいつも通り行動すればいい」
足手まといになる気しかしなかったけど、考えてみたら私は呪霊の攻撃効かないんだった。
ホッとしたら、少しだけモチベーションも上がった。