第24章 邁進
※硝子視点
綾瀬と虎杖が目を覚ました。
いや、2人して死んでたんだけどさ。
なんでか分かんないけど生き返っちゃったんだよね。
(残念)
虎杖も綾瀬も呪いの器として興味があったし、特に綾瀬に関してはその特異体質を解明したかった。
呪力をオートで吸収し、全ての術式を無効化する体質。
だから、私も綾瀬に術式を使ったことはなかった。
(でもあの治り方は反転術式しかありえない)
生き返った綾瀬には直前まであった胸の傷痕すら残っていなかった。
あれほどの治癒、まず自然治癒でないことは確かだ。
けれど綾瀬に反転術式は効かないはず。
だとしたら綾瀬自身が自分に反転術式を使ったのか。
けれど綾瀬は完全に死んでいた。
死んだものを生き返らせることは反転術式をもってしても不可能。
それが通説だ。私も致命傷までなら治すことはできても、蘇生はできたことがない。
虎杖も綾瀬もどうして生き返ったのか。
(やっぱ解剖したかったなぁ)
高専の中を歩きながら、しみじみそう思う。
でも口に出せば、隣を歩く男がウザ絡みしてくることは容易く想像できた。
だから私は本音を心にしまって、もう1つの本音をため息に溢した。