第20章 呪胎戴天
※皆実視点
虎杖くんが主導権を握り返した後、私の魂は虎杖くんの魂に連れられて、虎杖くんと視界を共有していた。
屍の世界を抜けて、真っ暗な映画館で伏黒くんと虎杖くんの会話を見ているような、そんな気分だった。
虎杖くんの視界が閉じて。
訪れるのは、真っ暗な闇。
「皆実」
闇の中、虎杖くんが私のことを抱きしめる。
2人して力が抜けて、座り込んで。
「俺の、そばにいて」
震える虎杖くんの身体を抱きしめ返す。
そんな私の手も震えてるの。
「怖いね」
「ああ……怖い」
虎杖くんの涙が私の肩を濡らす。
「でも、皆実が一緒なら……少しはマシだ」
そう口にして、虎杖くんは彼らしく笑った。
「ありがとな、皆実」
最後の言葉も、彼らしい。
呪いの器なんて嘘みたいに、真っ直ぐな正の感情。
虎杖くんが眠りについて、私の肩にその重みがかかる。
(……もう、終わりなんだ)
私の意識も、もうすぐ、消える。
この眠気が、とても怖いの。
(五条、先生……)