第17章 大波乱⭐︎一年生親睦会
懐かしい風景。
そこに、醜い私が存在してる。
(私のせい……私のせいだ)
うずくまって、震える私を、その人が抱きしめてくれた。
『皆実。……震えて、どうしたんだい?』
大好きな香り。
ずっと待ってたの。
いつもの丘の上。
誰も立ち寄らない、ココは私とその人の秘密基地。
『私……クラスの男子を、呪っちゃったかも、しれなくて』
私のことを好きだと言った、名前も思い出せないクラスメート。
告白を断ったら、その男子が怒って、私にキスをしてきた。
それきり、彼は目を覚まさない。
お医者さんは【脳卒中】って診断したらしいけど。
絶対、違うの。
『私が……私が、呪っちゃった』
また私のせいで人が死んじゃう。
その事実が怖くて。
私のせいじゃないのに。
でもやっぱり、それは私のせいで。
『皆実』
そんな弱虫な私に、その人がキスをした。
泣きじゃくる私をあやすように。
いつもみたいに。
優しく触れてくれる、その人のキスが、私は好きだった。
『大丈夫だよ。……君は悪くない』
その言葉を待ってた。
私のせいじゃないって、誰かに言ってほしかった。
私は、ずるくて、最低。
誰かを呪ってるくせに、自分のせいにはしたくなくて。
そんな私のすべてが、呪いだった。
でも呪いに満ちた私を、その人だけは何の打算もなく、抱きしめてくれたから。
『私に……すべて吐き出してしまえばいい』
その優しさに甘えて、私はその人の首に腕を回した。
何度も、何度も、交わした呪力。
人を殺める私の呪いを、その人だけは全部受け止めてくれた。