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【呪術廻戦】無下限恋愛

第16章 鉄骨娘


 朝から台所に立ってる私は、お玉で鍋の中をぐるぐるかき回す。

 鍋の中身はカレーだ。

 今日はもう1人の一年生を迎えに行く予定だから、帰りが遅くなるかもしれない。

 昨日の反省をいかして、夜に慌てなくて済むよう多めにカレーを作っておいた。


(あ……でも、『朝も夜もカレー?』って文句言われるかな?)


 ま、いっか。

 ん? でも昨日のオムライスみたいに『カレーだけ? スープは?』とか言いそう。カレーに合うスープってなんだろ。味噌汁? ……じゃないよね、なんだろ。


(うーん……無難にサラダ作るか)


 冷蔵庫の野菜室を漁ろうとして、私は手を止める。

 目に入ったのは、ゴミ箱に捨てたカレールーの箱。


(あ、これはヤバいかもしれない)


 副菜を作る以前の、根本的な問題を忘れていたことに気づいて、私は慌ててバスルームのほうに駆けた。


「五条先生ー」


 バスルームに通じる扉をノックする。

 五条先生がシャワーを浴びに行ってもう15分くらい経つ。

 シャワーの音は聞こえないから、もう着替えてるところかな。


『何? やっぱり一緒入りたかった?』

「いえ、全然」


 扉の向こう側、すぐ近くで五条先生の声がする。

 やっぱり五条先生はお風呂を終えて着替え中みたいだ。

 いらない返事は無視して、私は本題に入る。


「五条先生、朝ごはんカレーなんですけど」

『お、いいじゃん。久しぶりに食べたかった』


 あ、カレーは正解だったんだ。

 私はホッとして、一番重要な問題を口にした。


「辛口なんですけどいいですか?」

『……ごめん。全然聞こえない、何?』


 いきなりそんなに難聴になる?

 まずい。これは辛口に文句あるパターンだ。

 どうしよう……砂糖入れるか。

 時間ないから急がなきゃ!


 私はくるりと回れ右をして、キッチンに戻る……はずだったんだけど。

 ガチャン

 背後で扉が開く音がして、腕を思いっきり引っ張られた。
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