第10章 秘匿死刑③
「……朝」
あの後、寸前まで眠れなかったのが嘘みたいに睡魔が襲ってきて、そのまま私は眠りについたみたいだ。
隣を見たら、五条先生がいる。
(寝顔も綺麗なんだよなぁ、この人)
五条先生の寝顔をじっと見つめる。
その頬に触れようとして、やめた。
「触んないの?」
目を閉じたまま、五条先生が尋ねてくる。
やっぱり、起きてたんだ。
なんとなく、そんな気がしてたけど。
「どうせまた、『私が触ったら五条先生が無防備になる』とか思ってんでしょ」
五条先生にはお見通し。
私が頷くと、五条先生は呆れたようにため息を吐いた。
「僕ね、バカじゃないからさ。皆実と違って」
「私も五条先生が思ってるよりバカじゃないです」
「バカだよ。……だって、僕が自分の住処に何もしてないわけないだろ」
五条先生はそう言って、初めてその事実を教えてくれる。