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【呪術廻戦】無下限恋愛

第8章 秘匿死刑


※皆実視点


 五条先生が帰ってきたら、謝ろう。

 五条先生が許してくれなかったら、どうしよう。


 そんな感情ばかりが心の中を駆け巡って、全然眠れなかった。

 身体は痛いし、気分も最悪だし。

 全部最悪なの。全部自分のせいだけど。


「……寝たふり? あざといことするね、皆実」


 私に組み敷かれた五条先生は、私の腕を振り払って目隠しを外す。

 現れた綺麗な瞳は私を軽蔑するように見てた。


「おかえりなさい」

「今言うの? ただいま」


 五条先生が帰ってきたのは分かってた。

 分かってて、寝たふりをした。

 謝り方が、分からなくて。どう切り出したらいいか、分からなくて。


 私の「おかえりなさい」に笑って返してくれた五条先生に安心して。

 安心したら、簡単に涙腺が壊れた。


「……泣くなよ。どうした?」

「どうしたも、こうしたも、ないですよ……っ、五条、先生が……笑うから」


 嬉しくて。

 いつも通りが嬉しくて、涙が止まらなかった。


「ごめんなさい。……呪いとのんきにお喋りして、ごめんなさい」


 素直に涙を流したら、言葉も素直に出ていった。

 泣きじゃくる私を五条先生はまた笑って。

 身体を起こして、私をあやすように抱きしめた。

 温かい。いつもの五条先生だ。


「僕が怒ったのは、そこじゃないんだけど。やっぱバカだよね、皆実は」


 私の髪を優しく梳いて。

 五条先生は困ったように笑う。


「ね、皆実」


 五条先生は私の頰を両手で包み込む。

 五条先生の瞳には私だけが映ってる。


「……僕じゃなくてもいい?」
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