第5章 開会式
例の発作が落ち着いたところで、はずっとカブにあったら話がしたいと思っていた。
「カブさんってホウエン出身なんですよね?私行ったことあるんですけど、最高によかったです!」
「そう言ってもらえて嬉しいよ。ずいぶん昔のことだけれど」
「ホウエンって何があるんだ?俺さまガラルから出たことないからちょっとわかんねぇ」
「フッフッフ、ホウエン地方といえば海の化身のカイオーガと、大地の化身のグラードンが激しく戦ってできた凄い土地なんですよ!しかもその二匹の戦いを収めたレックウザっていう緑の龍が、遥か空の上で暮らしている神秘の地方ですよ!!!」
「お、おう」
「カイオーガとグラードンかぁ。懐かしいなぁ」
シンオウの魅力を語り出したは、目をキラキラさせながら続きを話だした。
「伝説の宝庫って言ってもおかしくないくらい、他にもいるんですよ!それに名物のフエン煎餅も外せません」
「あ、僕よくその煎餅食べてたよ。あそこの煎餅おいしいよね」
「なんか話してたら食べたくなってきました」
「僕も。今度通販で頼んでみようかな」
(全然話ついてけねーけど、なんかカブさんが嬉しそうだからいっか)
とカブはホウエンについて話だし、知らない地名に知らないことが多すぎて、キバナは早々に諦めた。
しかし、地元の話ができて嬉しそうなカブの姿が珍しいなとキバナは思った。
「じゃあ今度、煎餅のお裾分けをしょう。キバナ君もどうだ?」
「え、俺も?」
いつの間にかお裾分けの話を持ちかけられたキバナは、途中から話を聞いていなくてギクリとした。
「もちろん。頼むなら多めに頼もうと思ってね」
「じゃあ遠慮なく貰っとくぜ」
(キバナ様が敬語使ってる!しかもフニャって笑った!あああああああああああああああああああああああ/////)
スン…とは顔を整えつつ、内心はお祭り状態であった。
珍しいキバナの笑顔に、心臓がうるさく動悸した。