第4章 新たな門出
【ホップ目線】
さんお旅の話を夢中で聞いていると、下の階から母さんの声が聞こえてきた。
「母さんだ、きっと夕飯ができたんだろう」
兄貴がそう言うと、俺は部屋の扉に向かい、ドアを開けて大きな声で返事をした。
「さんが起きたって俺母さんに言ってくる!」
「ああ、任せた。俺たちも後から行く」
「うん、わかった」
俺はそう言って、部屋を出ようとした。
少し気になって、後ろにいる兄貴とさんを見てみると、さんは「申し訳ないです」と手と首を振っている様子で、兄貴は「遠慮しないでくれ」と何やら話し込んでいた。
さんが目を覚ました時に見た、兄貴の顔が今まで見たことがないような、優しい顔をしていた気がした・・・。
話をしている時も、兄貴は静かだったが、どこか楽しんでいるようにも見えた。
さんは、俺が気まずくならないように、ずっと笑いかけてくれた。ゲンガーもそうだったけど、すごくいい人なんだなって俺は思った。あと兄貴はさんの名前を知っていて、初対面じゃないということ。
よくわからないけど、兄貴が楽しそうなら、きっといいことなんだと思う。
兄貴はさんをベッドから降りるのを手伝おうと、また手を差し出していた。は最初遠慮していたが、兄貴も引かず、ついにさんが根負けして、また手を借りていた。
「・・・」
そんな二人をぼんやり見ていたら、さんのゲンガーが俺の背中をグイグイ押してきて、部屋の外に追い出された。
「お、おい!押すなって!」
「ゲーンガ、ゲン!」
「わかったから押さないでほしいんだぞー!!!」
早くしろと言わんばかりに、ゲンガーに部屋を追い出され、俺はやっと母さんのいる1階のキッチンに向かった。