第18章 それぞれの道
「君がカントーに戻ってやりたいことがあるのは十分承知している。それを無理に引き留めるつもりはない。でも…少しだけでも、残ってくれたら嬉しいと思ってる」
「…私なんかで本当に大丈夫ですか?」
「もちろん今のマネージャーから引き継ぎなどしてもらう。いきなりは大変だろうからね。それに、私たちも君を全力でサポートするよ」
(うっ…ダンデのマネージャーとか考えただけで胃痛がするような気がする…ダンデの過激派ファンに攻撃されるのも怖いし…でも、でも…)
は気持ちが揺れていた。何故なら、ダンデにはこれまで助けられてきた恩がを引き止めていた。一度チャンピオンカップを棄権しようかと悩んだ時も、インゴに襲われかけた時も、ダンデは助けてくれた。
「もちろん、これはあくまで提案だ」
と、ローズが柔らかい声で割って入る。
「3ヶ月間だけという期間限定の話だし、君がどう感じるかが一番大事だ」
ダンデも頷き、静かに言った。
「、考える時間はある。だから、無理なら無理でいい。でも…もし君が力を貸してくれるなら、本当に助かるんだ」
その言葉に、は小さく息を吐いた。
「…少しだけ、考えさせてください」
そう言うのが精一杯だった。ローズもダンデもそれ以上追及せず、穏やかに頷いた。
(どうしよう…3ヶ月間だけと言われても、そんな簡単に引き受けていい話じゃない。でも…ダンデの期待に応えたい……)
心の中で迷い続けるは、ダンデの頼もしさとその期待に応えたい気持ちの間で揺れ動いていた。