第17章 始まりの一歩
現状が把握できず、はなるべく平常心を保とうとした。が、そのせいで手に力が入り、繋がっているダンデの手を余計に強く握ってしまった。もちろんダンデもそれに気が付いて、握り返してくれる。
(へ、平常心…平常心…誰かこの状況を打破してぇぇぇえ///!!!!)
----コンコン、と部屋に響くノックの音に、はバッと顔をドアの方に向けた。
「目が覚めたと聞いたのですが、容体はどうですか?」
「ネズさん!!(神キター!!!)」
祈りが届くとは思っていなかったは、思わず顔を綻ばせた。
「……元気そうで、何よりです」
ネズは一瞬だけ驚いたような顔を見せたが、とダンデの手が繋がっていることと、ダンデからなんとも言えない視線を向けられ、スッと二人から目を逸らした。
(おーーーいネズさん!目、逸らさないで!!助けて!!!)
「こちらはあらかた片付きました。あとはジュンサーさんに連絡するだけですが…どうしますか?」
「……え?」
せっかく暖かくなってきた心臓が、吹雪にぶち当たったかのような、熱が一瞬にして冷める感覚がした。目を逸らしたネズの視線が、に戻ると、その温度のない目には動揺した。
「ど、どうって…」
「あの二人をジュンサーさんに引き渡すかどうか…一応お前の口から聞いておこうと思いまして」
「…」
複雑な表情をしたは、口をつぐんだ。
インゴのしたことは、許されるものではない。実際に怖い思いをした。仮面をつけて、やりたくもないバトルを何度もさせられ、昨夜はいろんな人を巻き込んでのバトル。
それでも元を辿れば、インゴを頼ってしまった自分の不甲斐なさだ。助けを呼ぶ勇気も、反論する勇気もなかった。
泣いて、泣いて、泣いて、逃げた。
もう時間がそこまできているのだと、は唐突に理解した。
「----ネズさん、二人と話せたりって、できますか?」
決着をつける時が、来てしまった。