第16章 月と太陽
「…知られたく、なかった…」
泣き崩れたは、顔を覆った。
「…、聞いてくれ…俺は…」
できてしまった距離を、ダンデは臆せずに近付いて行く。ダンデが近付くたびに、は体を震わせ、ダンデに何を言われるのかが怖くて怖くてたまらなかった。
左手が、仮面が剥がれた部分を覆い隠すように、目を隠した。
「俺はどんな君でも…君とバトルをしていると、心が通じ合ってるような気がするんだ……?」
泣き崩れていたは、震えが止まっていた。ゆっくりと立ち上がると、左目を抑えてニッと笑っていた。
「ダンデさんなら、わかってくれるって…思ってました…♡」
「…君は…」
すぐにいつものじゃないことに、ダンデは気が付いた。が、の顔色は良くない。
「この渇いた心の潤し方を、ダンデさんも探してること…バトルしてて伝わってきました…私たちは、似てるから…」
も一歩前に歩き出したが、フラフラとして危なっかしい様子だった。
「お願いです…バトルに、決着を…」
ダンデは息を呑んだ。顔色は悪く、フラついている体なのに、弱々しい雰囲気は一切感じさせない。
「勝たなきゃ…勝って、レッドに、認められ、なきゃ…」
「…わかった。君が望むなら、俺は容赦無くやるぜ」
「…」
は嬉しそうに頷いた。ダンデは持ち場に戻ると、リザードンとガマゲロゲもまだまだやる気満々で立ちはだかった。
メガリザードンとラグラージもの元に付くと、は声を張り上げた。
「リザードン、雷パンチ!ラグラージ、マッドショット!」
(ありがとう、ダンデさん…あなたに出会えて、本当に……)
右の仮面から、涙が一粒流れ出た。
「絶対に、倒してやるんだから♡!」