第16章 月と太陽

　二人のバトルがまた再開する一方、の背後ではエメットのアーケオスと、の影に潜んでいたゲンガーがバトルをしていた。

　こちらも決着が中々付かず、エメットはイライラしている様子が窺えた。のゲンガーも、トレーナーの指示がないバトルで、あちこち傷付いている。それが余計にエメットの怒りを助長させていた。

（あの幽霊野郎、トレーナーの指示もないのにここまでやるなんテ－－－－も全然振り向かないシ、あのチャンピオンに夢中みたいだし－－－－ムカつく－－－－ボクたちの時は、あんな態度一度も見せたこともないくせニッ！！！）

　ギリッと力強く歯を噛んだエメットは、アーケオスに指示を飛ばした。

「アーケオス、燕返し！」

「ゲン！！」


　ゲンガーもやられまいと、アーケオスの燕返しに、シャドークローで受け止め、弾き返した。


「そんなに主人が大事なら、守ってみなヨ！アーケオス、いわなだれ！」

「げ、ゲン！」

　岩が次々とゲンガーに襲いかかり、ゲンガーはサイコキネシスを使ってそれを防いだ。

「今だ、アーケオス！の仮面を取ってきて！」

「ギャス！！」

　ゲンガーが岩を押しとどめている間、アーケオスは素早く飛び立ち、背を向けているに向かっていく。

「ゲンッ！！！」

　しまった！と、ゲンガーは力を振り絞って、積み上がった岩をサイコキネシスで押し返した。慌ててアーケオスの跡を追うが、ゲンガーは息が少し上がっり気味で、だいぶ疲れていた。

　もゲンガーの焦りの声が耳に入り、後ろに振り返ると、アーケオスの鋭い爪が仮面を狙って飛びかかってきた。慌てて一歩後ろに下がると、さっきまであった顔の場所に、アーケオスの鋭い爪が振り下ろされた。

「ギャアアアス！！」

「うわっ！」

「！！！」

　かわしたせいで、アーケオスは余計に怒っている様子に見えた。もう片方の足をの仮面に伸ばすと、もう一歩後ろに下がったの足はもつれ、後ろに吸い込まれるように、バランスを崩してしまった。

　後ろからダンデの声も聞こえた。アーケオスの鋭い爪が仮面に向かってくるのが、スローモーションされたように、ゆっくり向かってくるのが見えた。

（駄目、駄目、駄目だよ！！！）