第14章 悪夢は醒めない
【ダンデ視点】
を抱き上げている俺の元へ、キバナとネズは駆け寄ってきた。
「一体何があった、ダンデ?はどうした?」
キバナがマントに包まれたに手を伸ばそうとして、俺は咄嗟にを抱き抱える力を強めて、キバナを睨みつけた。
「触るなッ!」
「っ!?え、何…どうしたんだよ、ダンデ…?」
困惑するキバナとは反対に、ネズは口も手も出さなかったが、静かに俺を見据えていた。
「…すまない、ちょっと気が立っていた…」
芽生えてしまった感情がうまく制御できず、二人を困惑させてしまったことに申し訳なさを感じた。それでも、今は誰にもを触れさせたくなかった。
「別に構わねぇけど…は大丈夫なのか?」
「いや…今は眠ってはいるが…」
眉間に皺を寄せたダンデの表情を見たキバナとネズは、大体だがダンデが不快な顔を浮かべるほどの何かがあったのだと察した。
「誰かはわからなかったが、相手はのことを知っている口ぶりだった…」
「----話しは後にして、とにかく場所を変えましょう」
今まで口を挟まなかったネズが呟いた。
「会場はお前が帰ってこないばかりか、外でバトルをしていると騒ぎになってますからね。その上も襲われたとなれば、ニュースで取り上げられる可能性もあります」
「そうだな。キバナ、どこかを匿える場所はあるか?」
「あるぜ、ついて来な」
ネズの提案により、キバナは古城にある部屋を案内するために歩き始めた。
俺たちがバルコニーの入り口付近までくると、扉が一人でに開いた。俺たちは立ち止まり、誰が現れるか警戒して開いた扉の先を見ていた。
コツン、コツンと歩く音が鳴り、月明かりの元に姿を表したのは、つい先ほどまでバトルをしていた、あの男だった。