第13章 囚われの心
「ドラァ〜〜〜〜!!!!」
突然、そこへ一匹のドラメシアがインゴに突っ込んできた。
「邪魔をするようでしたら、ワタクシ容赦はしませんヨ」
「や、やめてください!逃げて、ドラメシア!!」
インゴはを守るように立ち塞がったドラメシアを鬱陶しそうに見ると、モンスターボールを一つ取り出した。
「行きなさイ、シャンデラ!」
「シャーン!」
インゴが出したのは、赤い目とほのかに緑色の体、赤い炎を出した色違いのシャンデラだった。
「シャンデラ、サイコキネシスでコイツを追い払ってしまいなさイ」
シャンデラがドラメシアを見つめると、ドラメシアはその場で動きが止まってしまった。そのままゆっくり上へ上がっていき、は顔が青ざめた。
「やめて!やめてインゴさん!」
はインゴのコートに掴みかかって止めようとした。
「煉獄」
サイコキネシスを解いたシャンデラは、まだ立ち向かおうとするドラメシアに炎を吹き出したシャンデラの炎が、一気にドラメシアを包み込んだ。容赦のない炎に、は心が凍りつくほど冷たくなった。
「ドラメシア!!!」
力無く落ちていくドラメシアを受け止めなければと、はバルコニーの手すりから体をギリギリまで手を伸ばして受け止めようとした。
「何をそんなに慌てるんですカ。どんな相手でも容赦はしない、たとえそれが小さなポケモンだろうと、最弱だろうと----お前にはそう教えたはずですヨ」
インゴはの腹に腕を回すと、自分の方に引き戻した。もう片方の手は口元を覆い、は声にもならない声をあげて、伸ばしていた手の先に落ちていくドラメシアをただ、見る事しかできなかった。
インゴを引き剥がそうと、は自分の口元とお腹にまわされた手を掴んで、必死にもがいた。それでも成人した男性の力から逃れることは容易ではなく、自分の腕の中でもがくを、笑みを浮かべて見ていた。
「お前が最初から大人しくしていれば、あのポケモンが傷つくことはなかった…お前のせいデス」
「んん!!(違う!)」
違うと、何度も心で思っても、落ちていったドラメシアが何度も頭の中に浮かんだ。