第3章 迷走
「・・・え、ダンデさん???」
目の前に現れたのは、リザードンに乗ったダンデだった。
「チャンピオンカップ出るんだって!さっき受付から聞いたんだ!」
(え?は?え?さっき出したばっかり・・・だよね?)
疑問に思っただが、目の前にいるダンデは笑顔でリザードンから降り、こちらに歩いてきた。
(ひぇ・・・どどどどどうしたらいいの)
「・・・すまなかった、この間はいきなり手に触ってしまって・・・不躾だった、驚かせて申し訳ない」
あたふたしながらどうやってダンデを対処しようと考えあぐねていたら、彼は自分の目の前に来るや否や、ピタリと止まり、頭を下げてきた。
「!! え、いや、大丈夫ですので!頭あげてください!!」
(えええええ誰も見てないよね?!チャンピオンに頭下げさせた女とかで誹謗中傷されたくないんですけどおおおお!!!!)
なんとかダンデの頭が上がる頃にはは一気に疲れた気がした。
SNSの怖さはポケモンの世界に来る前からわかっていた。だから余計こんな形で目立ちたくなかった。
「バキュア!」
そして会話に困ったなと思った時、ダンデの後ろにいたリザードンが吠えて、その存在に気が付いた。
「リザードン・・・(私のリザードンより少し大きい)」
「俺のリザードン、相棒なんだ」
「バギュ!」
相棒、そう言われたリザードンが嬉しそうにダンデに顔を擦り付けじゃれ始めた。ダンデも嬉しそうに腕をリザードンの頭に回して楽しそうに笑った。
(・・・あ、笑った)
はダンデの笑顔を見てそう思った。
いつもテレビやポスター、あちこちに映る彼の笑顔は見ているはずなのに、何故か今のダンデが自然体のように感じた。
(・・・こうやって見ると、ダンデって本当に少年みたい。もっとそうやって笑ったほうがいいのに・・・)
目の前でじゃれ始めたダンデとリザードンには自然とえみが溢れた。