第10章 チャンピオンカップ
メガリザードンは雷パンチを、巨大リザードンの顔目掛けて更に高度を上昇した。
「避けるんだ、リザードン!」
もちろん単調な攻撃はダンデには読まれており、キョダイマックスしたリザードンは軽々とメガリザードンの雷パンチを避けた。おまけにメガリザードンを追いかけていた火の鳥もうまく避けると、メガリザードンは後ろを見て鬱陶しそう鼻を鳴らした。
「もっと高く飛んで!リザードン!真っ直ぐ上に!!」
は右手を高く、空を指さした。メガリザードンはすぐに体の向きを上へと変えると、翼を力強く羽ばたかせ空へ向かった。火の鳥も後追うため、大きくスタジアムを迂回してメガリザードンの後を追いかけた。
(もうこれしかない!)
どこまでも追いかけてくる火の鳥に、逃げ場ははないとは悟った。スタジアムの大きく開いたドームの上は、真っ暗な空が広がっていた。
そしてメガリザードンがついにドームより更に高い場所まで飛び上がると、メガリザードンはわかっていたのか、それ以上の飛行はやめ、下から迫ってくる火の鳥を見ていた。
「リザードン、火の鳥に向かってニトロチャージッ!!」
メガリザードンは体を下へ向けると、火の鳥に向かって急降下し始めた。体の周りは青い炎に包み込まれ、自ら自分の元へ突っ込んできたメガリザードンを、大きな嘴を広げて向かい入れた。
(メガリザードンでもあの炎の温度を耐え切れる保証なんてない!でも私の考えを理解して、覚悟を決めてくれたリザードンのために、私も覚悟してこのバトルに挑む!!)
スタジアムの視線が、スタジアムの上空一点に集中した。火の鳥に飛び込んでいったメガリザードンがどうなったのか、片唾を飲み込んで見守っていた。
そして、火の鳥の真下から、赤い火柱のようなものがキョダイマックスしたリザードンの真上に一直線に落ちていった。急降下するほど、赤い炎はなくなっていくと、口から漏れる青い炎、そして黒いボディが現れ、キョダイマックスしたリザードンの見上げていた顔の鼻に大きな頭突きを食らわせた。
「「リザードン!!!」」
とダンデは同時に名前を呼んだ。片方は歓喜の声を、片方は驚きと心配の声を。