第10章 チャンピオンカップ
怯んだおかげで、サイコキネシスの力が弱くなると、ハッサムは羽を大きく羽ばたかせ前進した。
「ハッサム、バレットパンチ!!」
もハッサムが作り出した隙を見逃さず指示を出した。右手を大きく下から突き上げるように、ハッサムの硬い鋏が鈍い鋼の色に変わると、その鋏はバリコオルのお腹にある、自慢の赤鼻に直撃した。
「畳みかけるよ!シザークロス!!!」
わずかに浮き上がったバリコオルに、ハッサムは素早く腕をクロスさせ切り裂くようにシザークロスを叩きつけた。
「バッ…!!!」
「バリコオル!!!」
ハッサムのシザークロスを受けたバリコオルは、後ろへ飛ばされフィールドに数回体を打ち付けると、目をグルグルと回していた。
「--バリコオル、戦闘不能!」
ドッと歓声がスタジアム中に響き渡り、熱狂がさらに加速していく。
「よくやった、バリコオル」
ダンデはバリコオルをモンスターボールに戻した。そしてバリコオルを倒したハッサムを見据えると、ハッサムは両鋏を構えてダンデを見ていた。
(さすがだな、君のハッサムは…咄嗟の判断力が他のポケモンとは違う……)
ギュウ、とグローブ越しをの手をダンデは握りしめた。
「頼むぜ、オノノクス!!」
ダンデはボールをフィールドに投げると、顔より大きな赤い牙、赤い瞳、手足の赤い爪が特徴的なオノノクスが現れた。
「!!」
ハッサムはオノノクスと目が合うと、静かに戦いの構えをとった。ピリピリとする張り詰めた空気に、にも緊張が伝わった。
(あのオノノクス……ハッサムが警戒してる)
これは一筋縄ではいかないなと、も気合を入れ直すように、深呼吸をした。
ジリ、ジリ…と、ハッサムもオノノクスも自身の主人の指示を今かいまかと、睨み合い、待っていた。
「バレットパンチ!」
「毒づき!」
ハッサムの鋏は鈍い鋼色に、オノノクスの手は毒々しい紫色になり、お互いの技をぶつけ合った。
「ハッサムに毒は効かないですよ」
「ああ、わかってる!オノノクス、連続で毒づきだ!!」
「…! ハッサム、こっちも連続でバレットパンチ!!」