第10章 チャンピオンカップ
「バリコオル、十万ボルトだ!!!」
バリコオルから放出される電撃を、ハッサムは後退しながら避けた。最初の一撃のバレットパンチはしっかり決めたものの、バリコオルの特殊技の攻撃に、中々次の手が決まらずにいた。
(フレーズドライに十万ボルト、水タイプの対策もバッチリ…やっぱりハッサムを交代させるべき? ダンデの残りのポケモンは確かオノノクス、ドラパルト、そしてリザードン…後で出したとしても、ドラパルトもリザードンもきっと火炎放射を……)
「バトル中に考え事か?フラフラダンスだ!」
「っ! ハッサム、目を閉じて!!」
タップを鳴らしていたバリコオルは、一度そのタップダンスをやめてフラフラとその場で踊り出した。は慌ててハッサムにそのダンスを見ないよう目を閉じさせた。
「サイコキネシス!!」
完全に後手にまわってしまったと気付いた時には、バリコオルのサイコキネシスがハッサムを捕らえ、勢いよく後ろへ吹き飛ばされた。
「ハッサム!!」
「…ハ」
「…まだ、いけるよね?」
「…」
ハッサムはコクリ、と静かにうなずいた。
「今度はあなたの踊りをバリコオルに見せてあげて!」
「ハッ!」
「行け、ハッサム!」
はバリコオルを指を刺してハッサムに指示を送ると、ハッサムは羽を力強く羽ばたかせ、バリコオルへ一直線と飛んでいった。
「来るぞ、バリコオル!気を付けるんだ!!」
「バリィ!!」
「フラフラダンスで目を閉じさせるんだ!」
またバリコオルがフラフラと踊り出すと、ハッサムは目を閉じた。
「十万ボルト!!!」
「ハッサム、止まってその場で剣の舞!!」
ハッサムは目を閉じたまま剣の舞を踊り始めた。迫り来る十万ボルトを気に留めず、舞を舞っていた。
「左に寄って前進!」
もう少しで十万ボルトがハッサムに当たると思った時、ハッサムはスッと体を左へ逸らした。そして一歩、更にもう一歩と、剣の舞を舞ったままハッサムがバリコオルに近付いていく。
「ば、バリ…!」
今まで見たこともないバトルスタイルに、バリコオルは一瞬驚いた。
「バリバリ!!」
もう一度十万ボルトを放ったバリコオル。