第10章 チャンピオンカップ

　はドラパルトから撃たれたドラメシアたちを真剣に見つめた。

「ゲンガー、ドラメシアたちに向かって走って！」

　ゲンガーは言われた通り、シャドーボールを両手で抱えながら、迫ってくるドラメシアたちに向かっていった。


「右に飛び込んで！」

　先に飛び出してきたドラメシアを右に飛んで避けた。

「しゃがみこんで！」

　後続のドラメシアも、しゃがみこんで避けると、二匹のドラメシアたちはそのまま真っ直ぐに飛んでいった。が、大きな輪を描いてゲンガーの背後に狙いを定めた。

「走って！ゲンガー！！」

　ゲンガーはひたすら手に溜め込んだシャドーボールを持ちながら、ドラパルトの元へ向かった。

「こちらもシャドーボールで迎え撃つぜ、ドラパルト！」

「ルァアア！！」


　ドラパルトもすぐに両手にシャドーボールを作り出した。

　そして、ゲンガーの持つシャドーボールが、自分の体くらいの大きさになると、はそれを放つように指示した。

「ゲンガー、シャドーボール！！」

「ゲン！」


　ゲンガーから放たれたシャドーボールは、さらに大きくなり、すでにドラパルトの体をすっぽり覆い込めるほどの大きさになっていた。

「デカイぞ！ドラパルト、あのシャドーボールにぶつけろ！」

「伏せて、ゲンガー！！！」


　ゲンガーはバタン、と倒れ込むと、その瞬間にその真上を二匹のドラメシアたちがビュン！、と通り過ぎていった。


「ド、ドラ！？！？」


　狙いが突然倒れ込み、当たらずして通り過ぎてしまったドラメシアたちは、大きく膨れ上がったシャドーボールに向かって飛び込んでいった。


　ドラパルトのシャドーボールが先か、ドラメシアたちが先かはわからないが、大きく膨れ上がったシャドーボールにどちらかが触れた瞬間、大きな爆発と爆音がスタジアム中に響き、爆風が吹き荒れた。

「ドラパルト！！！」

「ゲンガー！！！」


　ダンデとは、技の近くにいたポケモンたちを心配して声を張り上げた。あまりの大きな爆発に、会場にいた観客たちは息を呑んだ。


「ど、どっちが勝ったんだ…？」


　観客たちがドキドキしながらフィールドを見下ろしていると、晴れた煙から、ドラパルトの姿が出てきた。