第3章 迷走
カバンからレインコートを引っ張り出し、は雨のナックルシティを散策した。晴れた時とは違い、少し静かな街の風景に、また違った雰囲気を感じた。
少し肌寒かったが、リザードンに言われた通り、自分の中で溜まっていたものがスッと洗い流されるような気がして、は改めてリザードンに感謝した。
(やっぱり推薦状のことは断ろう…だってこんなに悩んでるし…あの時にみたいな思いはもう…あの子たちにもさせたくない!)
そうと決まれば、いつ推薦状を返上するか…とは考えた。
手紙で送るには失礼じゃないだろうかと悩む一方、ローズタワーに行って渡しに行ったとして、もしかしたら万が一の確率でダンデに会うかもしれないと思うと、は怖気付いた。
『来てくれないか?』
(ああああ思い出さないようにしてたのにいいい///)
ダンデのことを思い出すと、どうしても手を握られたことを思い出してしまい、顔に熱が籠る。
(あの人はもっと自分がイケメンってことを自覚した方がいい!というかあの人のことだから、無自覚っぽい。怖っ・・・美少女ブルドーザーの名は伊達じゃなかったわ)
怖い怖い、と思い、はさっさとポケモンフーズを買って帰ろうと決めた。推薦状のことは、後から考えればいいと頭の隅に追いやり、専門店を探すべく、街の地図が載っている広場まで向かった。
・・・・・
広場の地図に描かれたお店までの道順を覚え、街の外装を確認しながらは歩みを進めた。
少し前に来たブティックとカフェを超えて、道の名前を確認して、歩いて10分ほどで目的のお店が見つかった。
お店の中に入ると、壁には色々な種類のポケモンフーズが並んでおり、はワクワクしながら商品を手にとり、ポケモン達の好みにあった味を探した。
(今日はちょっと奮発していいの買っちゃおう)
ポケモン達の嬉しそうな顔を思い浮かべると、は自然と頬が緩く上がった。
(明日晴れたらキャンプしに行くのもいいかも。ワイルドエリアにも行ってみたかったし、こっちじゃカレーが有名だったもんね)
「楽しみだなー」
と、の口から自然とこぼれ落ちた言葉だった。