第7章 友達
ドラパルトとエレズンたちが無事帰ってきた頃、は今朝立ち寄ったベーカリーで買ったサンドイッチと、ポケフーズで昼食を共にした。
昼食後はまた二人できば湖に添いながら木漏れ日林を歩き、麗か草原までやってきた。その頃には空は少しずつオレンジ色になり、はダンデを見た。
「もう夕方ですね」
「ああ」
何も言わずとも、二人の間には別れの時間が迫っていることがわかった。
大きな夕日が山の向こうにゆっくり沈んでいくのを、ダンデは静かに見守っていた。
そしてこちらを見たダンデの顔はよくテレビで見かける笑顔だった。
「今日は本当に楽しかった!本当に俺のわがままに付き合ってくれてありがとう」
「私も楽しかったです、リザードンのポフレ食べちゃった時はどうしようって思いましたけど」
「…俺もまだまだ鍛え足りなかったぜ、次食べる時までになんとか…」
「いや、あれは人間用じゃないのでダメですよ、ダンデさん」
負けず嫌いが変なところで発揮しそうなダンデをは止めた。
このままでは本当に人間を辞めそうな気がした。
ダンデはフッと笑うと、目を閉じた。
そして目を開けると、ピンっと線が張ったように空気が変わった。
「、次手を合わせる時が来たら俺は今日みたいに容赦はしないぜ」
ダンデのモンスターボールからリザードンが飛び出し、ダンデの背後で大きく吠えた。
(ああこれは…ケジメだ)
は直感でわかった。
少年のように笑っていたダンデの姿は形をひそめ、チャンピオンの顔に戻っていた。さっきまで笑い合っていたのに、急に遠くなったダンデには寂しさを覚えた。
夕日の色が濃くなる空をバックにしたダンデを、はキュッと口を引き締めて見上げた。
「次は引き分けじゃ終わらせませんから。次に手合わせするまで誰にも負けないって約束します」
は言い切ると、ダンデは笑みを深めた。
「約束だ、俺も誰にも負けないと誓う」
リザードンの背中に乗ったダンデは空高く飛び上がった。空高くから手を振っているダンデに、も手を振りかえし、ドキドキと高揚する心臓を手に当てた。