第15章 バンバンジー
【俺は今朝テレビでみたよ。研磨頑張ってるな】
海の返信。
ネットニュースでしかまだ見てなかったけど、テレビでもやってたのか。
ゲームの配信をしようと思う、と言われたのは
機材の運搬設置を手伝わされた当日。
研磨の家に集まった俺と福永に、
「荷物届くまでスマブラしようと思う」
くらいの軽さで言ってきた。
穂波ちゃんと出会ってからの変化、
それから烏野のチビちゃんと出会ってからの変化、
そしてあの春高以降の変化。
どれも研磨のままでいながらも外に開かれていくような変化が、
少しずつ少しずつ見られていた。
だからそういうのにはまぁ見慣れてたとはいえ、
さすがにYouTubeは驚いた。
あの、研磨が。
YouTubeだと?
──「…え、何その顔」
「………」
「…名前何にするの」
「いや福永そこ!?それってだいぶ話してから、そんで、ってやつじゃね?」
「…コヅケン」
「コッ コヅケン!?」
「カタカナ?」
「だから福永今そこじゃ……」
「アルファベット。大文字。ヅはDZU」
「KODZUKEN… いいね」
「………」
それから本来の流れに戻して、
経緯… アメリカでのこと、
それから展望… 現実的な理由(まぁおおよそ金だな)
それからそのまた先のプラン(まぁこれもおおよそ金だな)
そういうのをぽつぽつと話すのを聞いた。
研磨がおもしろいことを、制限なく追求していけるようになったらまぁ、こんな感じか。
その、金を稼ぐことすらがゲームのようなんだろうなと思いつつ、
口には出さなかったけども、
結局その先というかその根底には、
研磨が前につぶやいた言葉そのまま使えば
穂波ちゃんのこと幸せにしたい。
っていうもんがあるのは明白で。
つまりはこいつ、わかってはいたけどでも、
マジで穂波ちゃんのこと大好きじゃん… っていうそこに行き着いた。
俺の中でも消化できたころに
(いやもちろんちゃんと現実的な理由聞いてそっちもちゃんと理解した上で、な)
荷物が届いて、俺と福永は研磨の言う通りに色々働いた。