第6章 リレー
ー研磨sideー
『みんな、みんなみんな、みんなだってかわいいしかっこいいんだからね!』
ストレートにいろんなとこから可愛いと言われて、
みんながみんなお世辞っぽさが全くなくて。
穂波はもじもじしながら、そんなことを言った。
『だからっ そんなかっこよくて可愛い人たちに、褒められたらどきどきするんだから…』
「それはこっちのセリフですよ!」
「ほんと、どストレートにいつもかっこいいとか素敵とか言ってくれて」
「自分に言われてんだけど、本心で言ったくれてるのがわかるからなんていうか」
「グッと来るんだよな〜」
「なのに!」
「ほんとそれなんですよ」
…?
「孤爪のものなんだよなー」
「孤爪さんにぞっこん」
「研磨といる時が一番かわいい!」
「研磨さんのこと大好きですよね、しかも相思相愛で」
…みんな同じタイミングで違う言葉でほぼ、同じこと言った?
なにこれ、なんか前もLINEでそういうのあった。
あの時は、言ってくる人も人だったから、チョット… いやだいぶ、嬉しかったけど…
なんか、変なの。
「…力くん、時間大丈夫?」
「あぁ、そうだな。話してるの楽しいけど!
ほら、片付けて体育館行くぞー」
力くんの一声でみんながトレーを手に動き出す。
「なぁ、研磨!」
「…?」
「日本史の先生でさ、学生結婚?ってのしたって人がいるんだよ」
「………」
「結構生徒から人気のある先生なんだけどさ、自分のことあんま話さねーんだけど」
「………」
「この間、聞いた!学生結婚って知ってるか?」
意味はわかるけど、知ってるかって聞かれると…
「知らない」
「…お!研磨にも知らないことがあるんだな!なんか大学生のうちに結婚したらしくて」
「………」
…だろうね。
「21?とかで子供産まれてて、いま38歳だけどもうおれとタメの子どもがいるんだって!」
「………」
「父ちゃん38歳ってわけーよな!」
「………」
「俺の父ちゃんは43歳だから…」
…え、結局なんの話。