第44章 その琥珀糖の味は… ※R-15
ちゅ… くちゅ…ちゅ…
口の中で混じり合うお互いの唾液に
その味が絡んで溶けて行くのを感じる
酷く…甘く 感じるのは
気のせいでもあるまい
一旦唇を名残を惜しみながら
ゆっくりと離して
離した唇から 銀の糸を引くのを
あげはが構う様子を見ると
思わず 微笑ましくも感じてしまって
彼女の唇の端を濡らす
どちらの物とも言えぬそれを舌で舐め取ると
杏寿郎が自分の指先で唇を拭うと
ペロリと味を改めて確かめる様に
舌なめずりをして
「甘いな…君は、琥珀糖も甘いが…。
俺からすれば、君の方が…甘く感じるが」
「もう、杏寿郎たら、
甘いのは琥珀糖にありますよ?
それに、その言われ方は…厭らしくあります」
「ん?厭らしいか?そんな事は無いがな…、
俺よりも、君の方がよっぽどその様にあるがな?
もしや、自覚が無いとでも?
その僅かに漏れる声も吐息も、
その表情も…つい嗅ぎたくなる香りも。
君の全てが俺には甘いがな…。
琥珀糖よりも何倍にもな。
甘いだけじゃなくて、厭らしくもあるが?」
そう囁く様に言って来る
その杏寿郎の言い方と声色と
その表情の方が よっぽど
厭らしいまでの 色気を孕んでるのに?
「わ、私なんかよりも、
杏寿郎の方がっ…んんっ」
返事を待たずに唇を彼に塞がれて
下腹を押していた手は今度は上がって来て
へその上に辿り着くと
へそとその下の辺りに広げた指先で
圧を掛けられてしまって
「……っ、ぁ、…ぅんんっ」
大きな声が漏れそうになったのを
キュっと口を結んで堪える様も
俺を喜ばせるだけに過ぎないが
空いている方の手で
あげはの頬を撫でて耳に辿り着く
耳の根元の出っ張っている軟骨の部分
耳珠(じじゅ)と呼ばれる部分を
その付け根と共に
指の腹でコリコリと弄る
その耳の軟骨の部分から
何とも言い難い快感が脳の中を走り抜ける
「ここには、触れた事は無かったが。
どうだ、良さそうか?あげは。
君の顔を見ている限り、俺の目には
かなり良さそうに見える様にあるが?」