第48章 嵐、束の間の静けさのち嵐　後編

アジの南蛮漬けは
最初から売っていたアジを見て
いいアジだったから
作るつもりだったから
材料は買って来たけど
茶わん蒸しは思い付きだったから
何も用意してなかったからなぁ

「いいんですか？春日さん。
だったら、鶏肉とかまぼこと、
三つ葉を…エビがあれば、
欲張るならゆり根と
水煮の銀杏もあれば最高ですね。
あ、でも銀杏でなくても
彩にきぬさやでも…」

「でしたら、うどんも
買って参りましょうか？
茶わん蒸しの材料を
買いに行って参ります、
ついでの用事もありますので、
戻るまでにお待たせ
してしまうかも知れませんが…」

うどんをと言う言葉にあげはが
ピタッと調理の手を止める

「うどんっ、確かにうどんを入れて
小田巻蒸しにした方が、杏寿郎さんは
喜びそうな感じもしますね。
でしたら、椎茸や具材も多めでも
良いかも知れませんね。小田巻蒸しなら
立派なおかずになりますから」

「鏡柱様は、流石にあられますね」

そうさつまいもを切っていた
使用人の男性が言って来て

「と、言うのは？」

「炎柱様が、
小田巻蒸しがお好きだと言う事です」

「でも、それは春日さんが提案して
下さった事にありますし。私も
そうだろうなぁって思ったまでですから。
あの、春日さん買い物はゆっくりでも
夕飯には十分に時間も間に合いますし、
遅くなっても全然問題ありませんから。
それよりも、お手間を取らせてしまって」

「いえ、春日にお任せ下さい」

そう言って屋敷を後にする
春日をあげははその場で見送ると
夕飯の支度の続きに取り掛かった

そもそも　明日の手土産を
夕食の支度に台所を塞がない様にと
随分と早い時間に始めた事なのだし

工藤さんの好物である
イカと里芋を煮ながら

これを作る時に作った合わせ出汁は
多めにして置いて取ってあるから
茶わん蒸しとさつまいもご飯に使えるし
味噌汁にも使えるから

残りの里芋とさつまいもは
一緒に米と炊く事にした

三つ葉も丁度茶わん蒸しに使うから
春日さんに頼んだし
上に添えたらきっといい感じになるしね