第1章 夢と憧れ
「あっ、あそこに立ってる人だ。」
私はほうきに乗って、お届け物を待っているお客様を空から見つけた。
ゆっくりと下に下降する。
ほうきから降りて、私はこう言った。
「お届けに参りました~っ!ここに判子か、サインをお願いします!」
「ここまでとても遠いのに、ありがとうございます。」
「いえいえ、これも仕事ですから!…はい、お届け物です。」
私はお客様にお届け物を渡す。
お客様はにっこりと笑って、受け取ってくれた。
「それじゃ、私はこれで…」
「あ、あの!」
「ん?」
「お、お名前を教えていただけますか?!」
「名前は、…名乗るほどではございませんので。それじゃ!」
私はほうきをまたいで、再び飛ぶ。
「あ、待って下さーい!お届け人さ~ん!!」
「ごめんね~!仕事がまだ残ってるから~!」
必死に叫ぶお客様が、だんだん小さく見える。
「次の場所は…っと。」
私は次の目的地に向かうため、地図を見る。
「ん?これ…、どうやって見るんだ…?」
(ヤバい…、地図の見方が分からない…。)
だらりと汗が流れる。
「さっきの人に聞けば良かった~!」
なんて、後悔しても今更もう遅い。
「まぁ、いいや…。とりあえず飛んでれば、着くだろう…。」
半分諦めて、空を飛ぶ。
「……!」
なんだか、声が聞こえる。
「え…?」
「……星山さん!」
その声は次第に大きくなり、
「星山宇宙さん!!」
「え、あ、はいっ!!」
私は気がつくと、教室にいた。