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〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─

第3章 飽くなき探求


「いいかい、ジル。
私がその質問に応える前に約束をして欲しい」

いつも穏和な父とは違い、ただならぬ様子にジルは頷くことしか出来なかった。

「その話題を家の外で話たらいけないよ。
私が応えるのも幼い君がこの話題を色んな大人に聞きまわる事をしない為だ。
わかったかい?」

「うん…
で、でも、エルヴィンとは良い?
エルヴィンが知りたがってるんだもん」

「エルヴィンには、エルヴィンのお父さんが話をするだろうから、君が教えなくても大丈夫だよ。
ただ、エルヴィンから話を振られたら場所を選んで話をしなさい」

「どうしてそんなにコソコソしなきゃダメなの?」

「それは、今から話す事と関連するんだ」

そう言ってジルの父は話を始めた。



人類が追い詰められ、壁に逃げ込むようにして壁内の人間だけは生存する事が出来たが、外には人類がいないという事が100年経った今の世界の歴史書にのる常識だ。
だが、壁が作られた以前の歴史を文献に残さなくても何かしらの形で言い伝えられることも無く、たった100年で情報が無くなることは不自然であり不可能という事。
これは100年前、何かしらの事実を隠したい王政が人々の記憶を改竄したのではないか─と。

父の話が終わっても、幼いジルには話の殆どは理解できなかった。

「ジルが分かりやすいように話したけど、それでもきっと今の君にはよく分からない話だろう。
もっと大きくなってから、その時も同じ疑問をもったなら、またお父さんと話をしよう。
だけど、話の前にした約束を守るんだよ。
さぁ、今日はもう遅いから部屋に戻りなさい」

父に促され部屋を後にしたジルは寝支度を済ませて自室のベッドに潜り込み、今日の父の話を忘れないようにと思いながら瞼を閉じ、眠りについた。
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