〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第7章 訓練の日々
ジルが訓練兵団に入団してもうすぐ三年の時が経つ。
ジル達訓練兵は順調に兵士になる為の術(すべ)を学んできた。
中には脱落し兵団から去る者もいた。
そんな脱落者が出る過酷な訓練にもジルは当然耐え、調査兵になるのを今か今かと待ち望んでいた。
そして、本日は解散式を迎える日だ。
ジル達訓練兵は教官の最後の訓示を聞きながらこの三年間の辛い日々を思い出していた。
勿論ジルもその一人だ。
体が小さく兵士には向かない体格で苦労した日々。
人付き合いに慣れない中で同期達と過ごした時間。
三年間ただひたすらにエルヴィンを想う気持ち。
だが、それも終わりだ。
ジルは三年間で身長はあまり伸びなかったものの、体力も筋力も男性に比べたら全然だが、入団したての頃とは違いしっかりと付いてきた。
同期達とは進む道は違う。己は数少ない調査兵に。
そして、エルヴィンと同じ道を歩めるか否か…
調査兵団にエルヴィンがいなければ、いっその事エルヴィンを想う事をやめてしまおうか…
だが、それは無理だろう。
ジルがエルヴィンと離れて九年。
九年の間、ずっとエルヴィンを想っていたのだ。
今更エルヴィンを忘れるなんて不可能だろう…
思い思いにこの三年間の記憶に浸っていると、教官から訓練兵達の成績優秀者である上位十名の発表があった。