〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第7章 訓練の日々
夢の内容があまりにもジルにとって酷なものだったのか、ジル本人は気づいてないだろうが顔色は蒼白になっていた。
ガチャっという扉が開く音がしたので、そちらに視線をやれば医務官と思われる人物が部屋に入ってくる。
「おや、どこか具合が悪かったのかい?
すまなかったね、少し所用があって離れていたんだ。
それでどうしたのかな?」
穏やかな表情で近づいてくる医務官にジルは自身の症状について話す。
「どれ…」
医務官はそう言うと、喉を見たり、脈や熱を計り、心音の聴診や問診したりと医務室で最低限できる診察を行った。
「風邪の症状ではないから、君の想像の通り過労による目眩や発熱だね。
君のようなまだ十二の女の子が男性でも辛い訓練をこなして、その後も必要以上に自主訓練を行っていれば過労にもなる。
今回は幸いにも怪我もなかったが、運悪ければ君は事故死していたやもしれぬし、他の訓練兵にも被害が出たかもしれない」
全くもって医務官の言う通りだ。
ジルは返す言葉もなくただ、黙って医務官の話を聞いていた。
「まだ君たちは訓練が始まって数ヶ月経ってこの生活にも慣れてきた頃合かもしれないが、まだまだ子供だ。
体の成長途中でそんなに無理はいけないよ。
医師としては訓練も二、三日休ませたい所だが、それは君たち訓練兵には無理な話だろう。
とりあえず、今日はしっかりん休んで明日朝一で診察して熱があるようなら明日の訓練は見送るように」
医務官からの言葉に了承し解熱剤を受け取り、礼を言って医務室を退室した。
退室後、ジルは食欲も無かったが食べないと治るものも治らない事を理解していたので、食堂へと足を運ぶ。