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暗殺者の正しい飼い方しつけ方

第4章 おまけ






「ああ、そいつが昨日ヤったやつ?手際良いって感心してたぜ?━━━で、もう一人のやつは?」

「………」





今朝時雨とともに出たマンション。
地下駐車場へと出たところで、出くわしたのが彼、雨音くん。
勘、だといいはる彼が凭れていたのは偶然にも俺の車で。
いやいや絶対勘でも偶然でもないだろう!とか突っ込みたくもなるけど。
「雨音すごーい!!昔から勘、いいもんね!!」
などとはしゃぐ時雨を見たら何も言えなくなった。
彼も教育を受けてきた暗殺者、といえば納得もいく。

………たぶん。




『時雨と一緒にいたい!!』


そう、いいはる彼と、すがるように懇願の眼差しを向ける時雨を無下にも出来ず。
なぜだか車へと乗せ、ここまで連れて来たわけだ。




「まぁ、いいや。圭が連れてきたなら、問題ねーよ」

「…………」



軽い口ぶりで豪快に笑うこの人が、事実上俺のボス。



「教授、ケイってゆーの?」
「はじめまして、の時に名乗ってますよね?」
「そうだっけ」



「そこのキミ、さ」

「俺?」


「拾ってきたばっかの圭と雰囲気似てるね。彼女も目がそっくり」
「教授の昔っ?どんなだったです?」
「そっりゃあ荒れまくって手、つけらんなかったよー」
「嘘」
「今でこそこんなん、教授なんてやって大人しいフリしてるけどねー」
「けどねー」

「………なんの話してんですか」

会って数秒で意気投合しないでください。


「そっちの彼もさ、そんなに怯えなくて大丈夫だよ」
「え」
「抜けて来たんでしょ?大丈夫、報復なんてされちゃう前にそんなとこぶっ潰しちゃえばいんだから」
「ぶ……っ、潰す?」
「こんな世界、嫌になったらいつでも抜けてマットーに生きればいんだから。それまでのクッション代わりに、俺たちを利用すればいいよ」
「………」

「………社長さん、いい人」

「そう?良く言われるー」




黙って肩を震わせた雨音くんをほっとけない、と思ったこともまぁ事実で。
時雨が嬉しそうだし。
まぁしばらくは。
おかしな三人暮らしが始まりそうだな。


なんて思いながら窓から見える青空を、見上げた。



            



                 【完】
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