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暗殺者の正しい飼い方しつけ方

第2章 絶賛失業中、です。




霧崎 時雨。
職業、殺し屋。
ですが現在。
絶賛失業中、です。





『時雨、仕事だ』




ボスから直々に命令が下ったのが3ヶ月前。
ある男を殺せ、と。
素性も名前も聞かされないまま、「あの男は危険すぎる」とだけ。
まぁ別に殺す男の名前など知っても仕方ないことなんだけど。
ただあたしは。
与えられた任務を着実に遂行するだけ。
失敗すれば『死』。
誰も使い捨ての駒を助けにくるやつなんていない。
で。
任務遂行が見事失敗に終わったのが、ほんの2ヶ月、前。









「時雨、ご飯出来ましたよー」

「はーい」




見事に餌付け、されました………。



広いマンション。
快適な空間。
重圧のない生活。
そしてなにより………ッッ。



「ん〰️ッッ、最高っ」


美味しすぎる、ご飯っ!!


「時雨、ゆっくり食べて」
「おかあり!!」
「ちゃんと噛んで食べてますか!?」
「………おかわり、なし?」
「あり、です。持ってきます」
「わーい」



殺そうとした、張本人。
あたしが失敗した男。
自慢じゃないけどあたし、失敗したことない。
はじめの一撃で、喉元かっきって終わり。
外されたことなんて、ないのに。
ただの大学教授のこの人、難なくあたしの攻撃避けた。
失敗したからには死も覚悟したんだけど。
なぜだかやたらと気に入られたらしいあたしは、奇跡的に命を繋いだみたいで。
今に、至る。



「教授」
「はい」
「今日は、早く帰ってくる?」


大学教授だから、『教授』。
はっきり言ってヒトの名前を覚えるのは、苦手。


「ひとりじゃさみしいですか?」
「ううん。お腹すくの」
「………そうですか」


ほんとのこと言っただけなのに、時々教授はこんな風に項垂れることがある。
よく、わからない。
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