第4章 覚悟
ある日の月曜日。6月も半ばにさしかかり梅雨真っ只中である。今日も朝から雨が降っていた。雨だというのに朝から全校集会を体育館で行っていた。
体育館から教室へ戻ると一斉に生徒たちは移動する。いのりも遥と教室へ向かおうとしていた。
(あ、花巻先輩。朝から見れるなんて嬉しいな)
花巻を好きと意識してから無意識に花巻のことを目で追ったり話すたびに嬉しくなっていた。しかし告白はできないまま。失敗したらどうしようとか今の関係が崩れるのは嫌という思いが飛び交い現状の先輩と後輩という関係を維持していた。
人混みの中に花巻を見つけいのりは朝から少し嬉しい気分になったのは束の間花巻の隣には花巻のクラスメイトなのか女子と一緒に喋りながら歩いており笑い合っている。
(クラスメイトの人かな…なんか楽しそうに話してる…。そういえば部活じゃない花巻先輩をわたし全然知らない…。)
いのりはそれから授業中でももやもやした気持ちがなかなか消えずに部活へ向かった。
部活でも花巻を見るたびにもやもやした気持ちが出てくる。
「なぁ水瀬ちょっとこっちのボールだし手伝ってくれねぇか」
『すみません、私ちょっとすることあるので他の人にお願いします』
「あ、あぁ。わりぃな」
花巻に話しかけられても冷めた態度をとってしまう。いのりの中でも八つ当たりしたとわかっている。けれどどうしても本当の気持ちとかけ離れたことをしてしまう。
「あれまっきーいのりちゃんにボール出し振られたの?」
いのりからボール出しを断られてしぶしぶ戻ってきた花巻は及川に言われる。
「んーなんかいつもの水瀬じゃない感じがした。」
「疲れてるのかもねー。こんな雨だし気分も下がっちゃうよ」
「ならいいんだけど」
外はいまだに雨が続き雨音は強くなってきている。