第2章 転機
いのりは部室から出てくると勢いよく走る。校門からちょうど半分くらいのところまだ一気に走り呼吸を整えるため一度止まり手を膝につく。
(はぁ…はぁ…絶対に花巻先輩に見られたぁ…どうしよぉ…この後絶対に気まずい…でもまだなんか花巻先輩でよかった…かも?)
他の先輩とか同級生とかは嫌だったけどまだ花巻でよかったと思う自分がいてなぜだろうと考えてもわからない。そうやってトボトボ歩いてると校門にたどり着いた。
『遅くなってすみません。』
「全然大丈夫だよ。まだまっきーもきてないしね。何やってるんだろ。遅くない?」
そんな質問に いのりは『ははっなんででしょうね』と苦笑いしながら返す。岩泉は「うんこだろ」と反応すると「もう岩泉くんったらお下品」というやりとりを松川と及川でしていると花巻も急いで戻ってきた。
「もうまっきーおそいよー!まちくたびれたじゃん」
「ははっわりぃわりぃちょっと先生に捕まってたわ」
部室によったことはみんなに隠して花巻は話し少し いのりもほっとした。5人で歩いているとコンビニに到着する。「俺アイス食べよっかなー」とコンビニに入っていく及川たちの後ろで花巻は いのりを引き止める
「 水瀬!さっきはほんとに悪かった。わざとじゃなかったとはいえ嫌な思いさせたよな」
『いや!大丈夫ですよ!私も鍵かけてなかったのが悪かったんですし。あと別に恥ずかしかったのはありますけど…でも!嫌な思いとかはしてないです。むしろ他の人じゃなくて花巻先輩でよかったっていうか…』
「えっ…?それどういうい「ちょっとそこで何してるのー!密会禁止だよ」
いのりになんで花巻ならいいのかと質問しようとしたら急に及川がコンビニから出てきて話を遮った。 いのりは『今行きます!ほんとに気にしてないです、大丈夫ですから!』といってコンビニに入っていった
(俺でよかったってどういう意味で言ってるんだよ…!期待するじゃねえかよ…)
花巻は いのりの言葉にひっかかりモヤモヤした気持ちでコンビニは入った。そしてみんな買い物を済ませちょっとした腹ごしらえをする。その日は特に いのりと花巻が話すことなく終わってしまった。