第4章 日曜日の夜の過ごし方
煉獄さんとの生活も早いもので1週間。春のように暖かい日も増えてきて、最初は遠慮があった煉獄さんもゆっくりと、打ち解けてきた。平日は私が帰ってくるまで、本を読んだり、YouTubeを見て過ごしているらしい。また、外では帽子とマスクを外さないことを約束して、合鍵を渡した。近くの公園で素振りやジョギングに行くこともあるようだ。身体を動かすことを日課としていたらしい。インドアである私とは人種が違う。
そして今は日曜日の夜23:00。
「中彩、もう遅い時間だ。そろそろ風呂に入りなさい。」
毛布にくるまる私についに話しかけてきた。週末は2人で出かけて必要なものを買いに行く。今日は最低限の買い物を済ませたあと、その後はゴロゴロしていたのだ。煉獄さんは読書。
「面倒なのです。」
「明日から仕事なのだろう」
「何故それを言ってしまうのですか。仕事思い出したくないです。」
「体を清めた方が気持ちも前を向く。」
「じゃあ煉獄さんが連れていってください」
こんなことくだらない冗談を言えるくらいには仲良くなった。
煉獄さんが私の家に来るまでの人生の習慣が直ぐに抜けることはなく、私は日曜日の夜を憂鬱としていた。行ってしまえば楽になるのに会社員として、やはりどうしても日曜日の夜から月曜日の朝は憂鬱だ。
「では連れていこう。」
「え?っておわぁぁあっっっ!?」
布団でころがっていた私をひょいと軽々持ち上げて、風呂場の前まで連れて下ろす。ワンルームの狭い空間での移動でそれほど大変でないとはいえ、抱えられて連れてこられた恥ずかしさが込み上げる。というか、ダイエットしてないから絶対重かったよねと考えが巡る。
そんな私を他所に煉獄さんは平然としていて、私を下ろした後すぐに布団に戻り、私が持っている本をまた読み始めた。
「お風呂ってなんでこんなに面倒なんだ…おかしい…」
ブツブツとつぶやく私に煉獄さんがはっはっと笑って
「それは中彩が逃げるからだ。逃げているから、厄介に思い患い、恐怖になるのだ。」
「私がお風呂から逃げているということ…?」
「そうだ。」
いやまあそうなんだけど、お風呂というか月曜日から逃げたいんだけど。会社員だったら、いや学生でも、月曜日は嫌だろう。うん、嫌だ。
とりあえず煉獄さんの説教を聞き流して、服を脱ぎ、お風呂に入った。
