第1章 Episode:01
(重い……)
足が重い。気が重い。心が重い。
毎朝毎朝、胸の辺りが何だかドロドロとしている…まるで、黒い石の塊を飲まされたみたいに。
なるべくゆっくり、一歩一歩を踏み締めるように歩くけれど、あっという間に教室が見えてくる。
私、にとって、学校という場所は頑張らないと来られない場所だった。
(……よし、)
覚悟にも似た気合いを入れて、入り口に手をかける。
頑張れ、頑張れ、と心の中で何度も繰り返して、いつものように、ゆっくりと扉を開けた。
「………」
教室の中は賑やかに騒ついていたけれど、誰も私の方を見向きもしない。
それもいつものこと。
普段と変わらぬ朝に、少しだけ安堵した。
最初はすごく哀しくて寂しかったはずなのに、今じゃほっとしてため息すら零れてしまう。
窓際の後ろから二番目、自分の席に着いて更に一息。願わくば、このまま私の存在になんて気付かないでほしい。
けど、そんなささやかな願いすら空しく散ってしまうのも、いつものことだった。
「っ!」
くしゃくしゃに丸まった紙が続けざまに上半身にぶつかってくる。
顔に当たらないようにを手で庇いながら目線を斜め前に向けると、長い前髪の間から見慣れた集団の姿が見えた。
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