第11章 姫さん、再会する
目が覚めた華音はあたりを見回す。
座敷牢に入れられるのかと思っていたが、捕らえられた場所は八帖ほどの部屋だった。
(…まずいな、これ)
否、まずい状況になりえる機会は今までいくらでもあった。
手遅れにならなかったのは、幼少期は父と母が、それからは祖父母が、そして今は信長達が守ってくれていたからだ。
身内の場合、8割がスパルタだった記憶があるが。
両手が後ろで縛られていること以外、扱いは丁重だと言える。
女子供を人質にするなら妥当とも言えなくもないが、それなら座敷牢でも良かった。
そこから考えられることは限られている。
華音は“最悪”を想定しつつ、脱出する機会を伺うことにした。
(気配とかはわからないけど…多分、いる)
部屋の外にはおそらく監視がいる。
ここで声をあげれば出てくるだろうが、残念ながら華音は「きゃあ」が言えないので大人しく待つことにした。
長く待たないうちに彼らはやって来た。
下卑た笑みを浮かべる男達からの舐め回すような視線を一身に浴びせられる。
「お目覚めか?オヒメサマよ」
「…誰なの?」
慣れない言葉遣いで姫らしさを演出する。
華音は表向きは“織田ゆかりの姫”であるので、不自然に思われないようにする必要があった。
慣れない口調を使ったせいかやや声がうわずってしまったが、幸いにも怯えていると捉えられた。
「アンタは知らなくていいさ。これからアンタのご主人様になるのは俺達じゃねーんだから」
「どういうこと?私を拐ってどうするつもりなの?」
「アンタを寵愛している男を怨む奴等に売るんだよ」
「……!」
信長を怨む奴等。
失礼なのは承知だし自分が言えたことではないが、そんな人達がこの世にどれだけいるか。
「ま、その前に味見だなァ」
「アンタに怨みはねぇが…信長に怨みがあるヤツなんてごまんといる。悪く思うなよ」
「ヒッヒッ…まさかこんな上玉を輪姦せるとはなぁ」
「やめっ…!」
華音が次の言葉を発する前に袷が掴まれ、白い肌が剥き出しとなった。