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【イケメン戦国】白衣の戦姫

第8章 姫さん、探し人になる


「城下に行きたいです」

「謹慎が解けた瞬間に言うことがそれか」

「さすがにあんな無茶はもうしないですよ。そろそろ秀吉どのに雷落とされそうですし」

「引き際を心得ているとは小癪だな貴様」



一悶着あったものの、もう何も言わずに森を突っ切ったりしないと約束を(華音が一方的に)取り付けて城下へ向かう許可を貰った。
グータラしていたわけではなかったので、許可自体は割と簡単だった。
事実、華音は謹慎中は城を出ることはなく、気分転換に掃除をしたり織田軍医療班に医術を教えたりしていた。

ルーティンと化そうとしている金平糖と茶菓子の購入。
しかしいつもと違ったのは、茶菓子を売っている店に大柄な男性がいたこと。
初めましてではないが挨拶をする仲でもないと思い、店主に会釈をした。



「こんにちは」

「おっ久しぶりだな侍嬢ちゃん」

「お久しぶりです。おすすめの茶菓子いくらかお願いします」

「任せな。少し時間かかるからそこに座って待ってな」

「構いません」



店主が指を指した方にある椅子に座り、楽な姿勢をとる。
ある程度時間がかかるのは分かっていたので、懐から本と眼鏡を取り出す。

しばらく本を読んでいたが、隣からの刺すような視線に痺れを切らした華音は本から目を逸らさないまま口を開いた。



「何か」

「ああすまない。あまりにも美しいから見惚れてしまったよ」

「ご冗談を」

「冗談なんかじゃないさ。天女かと思ったよ」

「………」



男の甘い声は、きっと話しかけられた女性全てを魅了させる。
しかし、思わず緩んでしまった華音の警戒心は再び再燃した。
“天女”という一言で。



「何か御用ですか」



華音はここで初めて顔を上げて男を見て言った。
明らかに先程の無関心と警戒を混ぜたような声とは違う、怒りすら感じる声色に男は一瞬目を見開く。
しかしすぐに表情を戻し、誰もが見惚れるような笑みを溢す。



「怒らせたなら謝る。安土の姫君」

「別に貴方には怒っておりません」



このまま膠着状態が続くかと思いきや、向こうから華音の現代仲間とそのズッ友、そして少し後ろからもう一人男がやって来た。



「信さん!」
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