第1章 Night 1
かちゃ…
すぐ後ろで何かの音がした。
何か…刀を鞘から抜いたような…
そんな音がした。
「…そこまでだ」
低く威圧感のある声がして、
煙草の匂いが鼻をくすぐった。
ゆっくりと振り向くとそこには
黒髪に黒服…くわえ煙草の
鬼の副長こと、真選組副長
土方十四郎がいた。
『…幕府の犬に嗅ぎつけられるなんてね』
私の声が聞こえたのか聞こえなかったのか男は刀を私の首元につきつけた。
「…お前は誰だ、こんな夜中に爆発音がするなんてただものじゃなさそうだけどな」
私は刀を軽く払いのけた。
『…ただの旅人です』