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[BLEACH] 世界を超えて

第2章 世界反転


「ん……」

 美穂子は光を感じて、ゆっくりと意識が浮上していくがわかった。
 ぼーっとした頭で、見える天井に首を傾げた。

「……どこ?」

 視線だけで周囲を見回せば、どこかの和室。
 いや、和室と言うには広すぎるが。

 美穂子は身体をゆっくりと起こすと、身体の節々が痛かった。
 ふと、自分の姿を見れば―…浴衣を着ている。

「………?」
「目覚めたか」

 小さな音を立てて、戸が開かれた。
 美穂子は声の方向へ顔を向けて、目を見開いた。

 高い身長。
 漆黒の髪に、整った顔立ち。

 見たこともないほどの美形の男が、無表情でこちらを見ている。

「―…えっと、おはようございます」

 とりあえず、美穂子はぺこりと頭を下げてあいさつした。
 すると、男が一瞬目を見開いたが、すぐ無表情に戻って部屋に入ってきた。

 それをじっと見つめていると、男はゆっくりと美穂子の寝ている布団の横に腰を下ろした。

「貴様は何者だ」
「……えっと、藍野美穂子といいます。ここは…」
「朽木の家だ」
「くちき…さん?」
「あぁ」

 美穂子は首を傾げて、眉を顰める。
 一体、何がどうなっているのかさっぱりわからない。

(えっと―…確か私…会社にいたよね。うん、面倒な会議が終わって… お昼ご飯食べようと思ってフロアに戻ろうとして―…そう、エスカレーターに乗ったのよ)

 そうだ。
 確かにエスカレーターに乗ったのは覚えている。
 そして、立ち眩みがしたのも。

「…落ちた? いや、でも…。あれ、月明かり…?」

 ぶつぶつと美穂子は呟きながら、首を何度も傾ける。

「私、あの時…泳いで…?いや、でも…エスカレーターから落ちたんだし…」

 美穂子はさっぱりわからなくなって、じっと見つめている男を見た。

「あの!私…どうして、朽木さんの家に?」

 とりあえず、この場所にいる経緯だけでも知りたい。
 もしかしたら自分の断片的な記憶とどこかでつながるかもしれない。

「―…私が、運んだ」
「どこから?」
「屋敷の、泉からだ」
「泉?」
「あぁ」 


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