第4章 瀞霊廷の生活
「―…書類整理?」
「はい。お邪魔はしないので、手伝いをさせてください」
「……。お前は死神ではないのだから、やる必要などないだろう」
「必要ないかもしれませんが、出来ればやりたいんです」
きっぱりと言い切る美穂子に白哉は眉をひそめた。
「理由を話せ」
白哉は美穂子の保護という名の監視役だ。
朽木家には美穂子が来てからというもの、探査用の結界が張られている。
白哉は六番隊の隊長で、日柄一日美穂子の行動を監視することなど到底不可能だ。
ここ一週間で美穂子が逃げようなどということは考えていないことは白哉も理解していたが、万が一ということがある。
念のため、の方策が結界だった。
もちろん、美穂子はそんなことを知る由もないので、おそらくこの家を出たいというのは別の理由なのだろう。
すると、美穂子が少し言い難そうに、言葉を濁した。
「お世話になってて、こういうこと言うのは何なんですけど……、死ぬほど暇なんです」
「……」
美穂子は思い切って白哉のほうを見ると、両手で拳を作って力説した。
「考えても見てください!最初のころは何も知らなかったので勉強してましたけど!一週間もすれば調べつくしちゃって…やることないんです!」
もう暇すぎ!と叫ぶと白哉はため息をついた。
普段が忙しすぎて、白哉には暇というのがいまいち理解できないが、どうやらストレス気味であることは理解した。
(結界を張らずとも、美穂子を同行させれば…事は足りるか)
要は六番隊の執務室で仕事をさせながら、監視すればいいのだから。
「わかった。なら、明日一緒に六番隊へ出勤しろ。ただし、私の指示通りに出来なければ…あるいは使えないと判断した際は、戻ることになる」
もしも使えるなら、六番隊で監視すればいい。
逆に邪魔なら屋敷にまた戻せばいい。
白哉はそんなことを思いながら言うと、美穂子はにっこりと嬉しそうに笑った。
「もちろんです!」