第1章 collaboration
番組は滞りなく進行して
pm 8:45
前半のトリは
東條アンナ だった
新人ながらこのポジションを任されるあたりに
世間からの期待度の高さが伺えた
前奏が流れ
マイクを持った彼女がステージ上に現れると
会場の空気が変わった
静かなバラードのメロディに乗って
流れるように聴こえてくる美しい歌声
小柄な身体からは想像も出来ないような声量に
誰もが息を呑んだ
アッと言う間の5分間だった
歌い終えたアンナが深くお辞儀をする
「………スッゲェ…」
「……ウン………すごい…」
夏生と健人の口から
感嘆の声が溢れた
「……」
客席からの大きな拍手に包まれて
前半のプログラムは終了した