第7章 栄光
受賞式の中継が終わるとすぐに
携帯電話が鳴った
画面にアンナの名前を見つけた僕は
慌てて通話ボタンを押した
「もしもし?アンナ⁇」
『……礼音…?………見ててくれた…?………私……頑張ったよ…』
「……ウン……ずっと見てたよ。………すごかった………ホントにすごかったよ…アンナ…………おめでとう……」
『……ありがとう………礼音が喜んでくれて…嬉しい…』
「……」
「礼音!その電話アンナからか?ちょっと…スピーカーにしろ!………オイアンナ!聞こえるか⁇おめでとー!」
『…夏生?ありがとう!』
「…もしもし…アンナ?受賞おめでとう!…今日のパフォーマンスも素晴らしかったよ…」
『…健人……みんなで見ててくれたの?』
「…そうだよ……みんな大喜びしてる…」
『……そう……どうもありがとう…』
「ホントにホントにすげーよ!東條 アンナ!お前は最高の女だ!」
『…アハハ……夏生に褒められたの…初めてだよ…』
「…今度お祝いしような……みんなでいっぱい褒めてあげるよ…」
『…ありがと健人……楽しみにしてる。………ぁ……何か…私呼ばれてるみたい……行かなきゃ…』
「…そっか……じゃあ…また後でゆっくり…」
『…ウン…連絡するね………声が聞けて…嬉しかった……じゃね…』
「……あぁ…またな…」
『………ぁ… 礼音…?』
「……ん…?」
『……本当に…ありがとう…』
アンナはそう言って電話を切った
これが
彼女の最後の言葉になるなんて
その時は思ってもいなかった