第7章 栄光
アメリカへ帰った彼女を待っていたのは
これまで以上の注目だった
歴史ある賞にノミネートされた事で
アンナの評価は改めて見直され
これまでの彼女の実績が
世間から再認識されたのだった
そして
翌年の1月末
LA ─────
リムジンからレッドカーペットに降り立つアンナの姿が
世界中に発信された
僕達は
その時取り組んでいたミュージカルの稽古を中断して
テレビの画面を食い入るように見つめた
フラッシュの嵐の間を
鮮やかなブルーのドレスに身を包んだ彼女が
堂々と通り抜けていく
「ぅおー!スゲー!」
「…カッコいいね…アンナ…」
「………ウン…」
ステージでのパフォーマンスタイム
燃えるような赤いドレスに着替えたアンナは
ピアニストとのコラボレーションで魅せた
この日の為にアレンジされた彼女の曲に合わせて
情熱的に歌い踊る姿は圧巻だった
曲が終わると
会場は大きな拍手に包まれた
そして
ついに
受賞者発表の時
照明が暗転し
プレゼンターが封筒を開ける
静まり返った会場で
名前を呼ばれると
いくつものスポットがアンナだけに集められた
大きな拍手の中
アンナは立ち上がり
光の中をステージへと進んでいく
トロフィーを受け取り
壇上に立った彼女は
英語で感謝の意を表すスピーチをした
スピーチを終えたアンナは
カメラを真っ直ぐに見つめると
あの
悪戯そうな微笑みを見せた
この時のアンナは
スポットライトにキラキラと輝いて
本当に美しかった
僕はそんな彼女を見つめながら頷き
心からの拍手を送った