第6章 telephone
あの時
僕はどうして
君の手を離してしまったんだろう
2人の気持ちは
同じ未来を望んでいると分かっていたのに
僕は
それに気付かないフリをして
アンナの想いにも
自分の気持ちにも逆らう方向に
この手で
彼女の背中を押してしまった
アンナの輝かしい実績と
これからの彼女を待ち受ける栄光が
どんなに特別な事なのかを理解していたからこそ
それを僕のために捨てさせてしまうのが
怖かったのかも知れない
アンナの瞳に浮かんだ失望の色が
僕には忘れられなかった
僕にとって大切なのは
ただ
君だけだったのに…