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僕だけのDiVA【R18】

第6章 telephone



pm 11:00
食事会はお開きになった


夏生と健人は
「またすぐ会おう」と言って
別々のタクシーで帰って行った


僕とアンナは
同じタクシーに乗り込むと
彼女が宿泊しているホテルの前で降りた



部屋に着くとアンナは
『汗を流してくる』と言ってバスルームへ消えた


彼女と交代でシャワーを浴びた僕が部屋へ戻ると
アンナは窓際のリクライニングチェアに身体を預け
目を閉じていた


バスルームのドアが開く気配を感じたのか
目を開けたアンナは
視線で僕を捉えると
そっと微笑んだ


「…眠ってていいよ…」

『……ううん………大丈夫…』


アンナは立ち上がって伸びをすると
窓にもたれた


「………どした…………疲れたか…?」


彼女の表情が少しだけ気になった僕は
アンナの方へ近づいた


『…相変わらず過保護ね…』


彼女はそう言ってクスクスと笑った


しばらくの間
窓に額をあて
夜景を見つめていたアンナが

不意に小さな声で呟いた


『……トーキョーって………なんだか……ホッとする…』






何気ない

一言だったのかも知れない





でも僕には
彼女が初めて
僕の前で弱音を吐いたように思えた





知り合ってから十数年
どんな時にも自信に満ち溢れていたアンナの
こんな弱気な表情を
今まで見た事がなかった





僕は
大きく息を吸うと
覚悟を決めて言った


「……アンナ……」

『………?』

「……あの時の…返事………そろそろ聞かせて欲しい…」

『……ぁ…』

「……」

『………礼音………私…』


アンナがそう言った所で
突然携帯電話が鳴り出した






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