第5章 NY
アンナが中座すると
夏生が言った
「………あーぁ…………まぁ……アンナが家庭的な奥さん…てのは……無理があるか…」
「……クス……あんまり想像出来ないね……でもいいんじゃない…?…… 礼音料理上手いし…」
「…そーだな!礼音なら大丈夫だな!」
「…へ?」
「……フフ…」
「……へへへ…」
「な、何だよ2人とも」
「…あー……いやその…」
「……礼音……アンナと結婚とか…しないの?」
「………ぇ……」
ニヤニヤしている2人を前に
僕は固まってしまった
「いくら離れて暮らしてるからって……もう付き合い長いしさ……10年以上だろ?……だったら……年齢的にもそろそろかなーって思って…」
「……ぁ…」
「……実際の所どーなんだよ……考えてるのか?」
「……んー…………何年か前……一緒に暮らそうって言った事は……ある…」
「おー!…で?返事はどうだった⁇」
「………まだ…聞いてない…」
「はぁ⁇…バッカ‼︎何で聞かねーんだよ!」
「………考えてみてって言って……何となく…それっきりに…」
「……アララ…」
残念そうに眉を下げた健人とは対照的に
夏生は椅子から立ち上がった
「礼音!今夜絶っっ対聞けよ!約束だかんな!」
「…えー…」
「アンナがずっと聞かれんの待ってたらどーすんだよ!礼音が聞かねーならオレが聞く!」
「…あー…もー分かったよ夏生!…後で俺から聞くよ…」
「よし!それでこそ男だ!」
バチンと背中を叩かれて顔をしかめた僕に
健人は優しく微笑んだ
「……いい返事もらえるよ…きっと…」
「……うん…」