第1章 序章 約束
「あぁ……ずっと…
癪に障るやつだとは思っていた
ガキのような扱いをしてくる事を憎いとまで思った事もある
だが…こんな時でも
貴様はこんな時でもなんて綺麗な顔をしているのだ…
また名前を呼ばれたくなってしまうではないか」
宿儺は小さな声で久しく名前を呼んだ
その声は誰かに届くことも無く闇へと消えた
ーー雪を欺くような白い肌も
もっと触れておけばよかった
絹糸のような黄金の髪も
もっと指を通しておけばよかった
白魚のような指も
もっと…握りしめておけばよかった
だがもうそれも過去のこと
時間を遡れるものならしてみたいものだ
だが、俺にそんな芸当を成し得る訳もないーー
顔にかかった長い髪を耳にかけ
優しく口付け交わす
「貴様が言ったのだ
またすぐに会いにこい」
宿儺は立ち上がり女を置いて闇へと姿を消した
「待っておるぞ」