第1章 unlucky men
「翔ちゃん、それ似合ってるじゃん!」
「本当?ありがとう」
「うん、似合ってるよ。羨ましい」
身を乗り出す相葉君と、隣から覗き込む松潤も口々に讃えてくれて、俺はすっかり、有頂天だった。俺自身もとっても気に入っていたから、自分と大野さんのセンスを褒められたみたいで、なんだか気分が良かった。実際は褒められているのは、大野さんのセンスなんだけれど。
相葉君、松潤、大野さん、ときたら、次は……
「次は、私ですね」
声を発したのは、ニノ。
俺の脈拍が2倍になったような気がした。気のせい、と言い切れないのが恐ろしい。
ニノはがさがさと何やら紙袋を取り出すと、席から離れようとして、俺の手を掴んだ。大野さんのブレスレットが巻かれた手首を。ニノの体温が、じんわりと伝わってくる。俺よりも温かい。
「……ちょっと内緒で渡したいので、私たち、席外しても良いですか?」
「え、何? そういうの、なんか羨ましいな」
「じゃあ相葉さんの次の誕生日も、こういう渡し方にしますか」
「うん、お願い!」
ニノは天真爛漫な相葉君に呆れたように首を振ると、それじゃ、と俺を立たせる。
振り向くと、大野さんと目が合った。無言で、行ってくる、と呼びかけると、口元だけで微笑まれた。