第10章 chapter10
服を整え、彼女をチラッと見ると
歩は睨みつけるように僕を見てる
「なにさ」
「激しくしすぎ…死ぬかと思った」
「死ぬわけないでしょ」
彼女は腑に落ちない様子
「大体、君が悪いんだよ?僕の服なんて着て煽ってきたんだから」
「煽ってないし」
「とにかく 僕の服は僕の前以外で着るのは禁止ね」
「何で〜せっかく貰ったのにぃ」
「何でも そう言えば僕歩に聞きたいことあったんだよね」
「あー話そらした!もう!で、聞きたいことって?」
「歩と僕は学校違うでしょ?不安になったりしないわけ?」
「不安?何に?」
「例えば…僕が知らない女の子と話してたらとか、部活ばっかりで会えなくてとか」
「んー…知らない女の子は確かに気になるし、蛍くんと同じ学校なんて羨ましいとは思うけど、それで蛍くんが他の子を好きになったりはしないって…しんらいしてるからかな?」
そう言ってボクを見る彼女の目に一瞬怯む
しんらい(脅迫)
裏切ることの許されない圧倒的なしんらい
この目を僕は知ってる
影山や日向の顔がよぎる
ーここまで こいー
ーここまで ちょうだいー
そして
ーあなたは うらぎらないー
ああ、僕はこの目をした人には敵わない
「僕はまだまだ君には敵わないよ」
「え?」